〈ポストコロナ時代の音楽活動-アジア〉 Vol.2

日本からのレポート

 日本のオーケストラはコロナウィルス感染拡大の影響で、アマチュアは3月初めから、プロも少し遅れて3月下旬から活動停止を余儀なくされました。因みに東京オリンピック・パラリンピックの1年延期は3月24日に発表されています。

 その後感染状況は悪化を続け、4月7日には緊急事態宣言が出されましたが、5月末になってようやく一旦の収束を見せました。そして6月に入りオーケストラは活動再開の道を探り始めます。

 豊橋ユースオーケストラも3月から中止していた練習を3か月ぶりに再開したのは6月7日。ただ、普段練習場としている羽田中学校音楽室では3密を避けるため合奏練習はできず、パート練習のみを行いました。それでも子供たちは久しぶりの再会と楽器を弾けることの喜びに顔を輝かせていました。

 そんな子供たちを目の当たりにした先生たちは、何とか演奏会を開きたいと動きました。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、演奏会開催には様々な制約がありました。さらに7月に入って再び感染は増加し始め、プロのオーケストラがなんとか演奏会を開催し始めたものの、アマチュアオーケストラは予定されていた演奏会を全て中止・延期していました。

 そんな厳しい状況下でも演奏会の開催に拘ったのは、ユースオーケストラには卒業してしまう団員がいるからです。来年はもうこのメンバーで演奏することはできない。何とか彼らを本番のステージで思い切り弾かせてやりたい。その強い思いが背中を押しました。

 8月10日、第21回定期演奏会を十分な感染対策のもとに開催することができました。ステージはオーケストラピットを上げ、常設の反響板をはずして十分なスペースを確保、客席も1/6の250席に絞りました。しかしこうした厳しい状況は、むしろ子供たちの集中力を高める方向へ働きました。本番、彼らはチャイコフスキーの交響曲第5番を見事に歌い上げ、会場は深い感動に包まれたのでした。